じゃがいもの生命力は逞しいもので、水もやらず、光にも当てず、土にも触れさせていないのに、人が生活できるくらいの気温さえあれば、いくらでも芽を出す。初めはそんなことも知らず、夏に収穫した芋を箱に入れてしばらく放置。気温が下がった秋以降は、箱を部屋に置いておいた。ある時、芋を入れた箱が膨らんでいるように見え、恐る恐る箱を開けたら、ジャガイモの芽が箱を押し開けんばかりに伸びまくっており…。その時は、どうにもならなくて箱ごと処分。ほったらかしにしたことを反省した。土から掘り出しても、芋は生き続けていることを実感。以来、秋まで芋は土のなかに保存しておいて必要な分だけ掘り出し、冬が来る前に収穫することにした。本当は食べきれればいいのだけど、消費が追いつかず、春を迎えても余ってしまう状況が続いている。
この春、余っていたそのじゃがいもを、種芋として再び植えてみることにした。呆れるまでに強い生命力を、もっと見てみたい気がして。もともと、じゃがいもには、種芋の植えつけから収穫まで水を与えることはしない。畑を荒く耕して、空気を含ませた土の中に植えつけてやれば、地中に含まれる水分だけで勝手に育っていく。時々雨が降ればそれで十分。成長に合わせて芋が露出しないよう、たまに土を盛るだけ。それでも、控えめながら肥料は与えていた。今年はそれもせず、土をかぶせただけでどこまで育つのか見てみることにした。
写真は、じゃがいもを植え付けた春の土。昨年の収穫以来、冬の間も諦めずに何度も芽を出す芋に半ば呆れ、半ば感心し、再び温かな土をかぶせることにした。さあおかえり、もう土の中だ。思う存分芽を伸ばしていい。