暑いのでアイスクリームが食べたくなった。最近、食品の購入はもっぱらネットスーパーを利用している。暑い日に店まで出かけなくていいし、何を買ったか記録も残る。決済も便利で申し分ない。だからアイスクリームも、食品と一緒に発注するつもりで、カートに保存しておいた。
翌日、発注しようとしたら、アイスクリームの表示が赤くなっていて、注意書きが表示されていた。この商品は値上げしましたとのこと。カートに入れたときに表示されていた金額より、購入しようとしているときの金額が、高くなっている。228円だったのアイスクリームが246円になっていたのだ。一日の行動の遅れが、7.8%の価格上昇を許してしまったことになる。
少しずつ進んでいくインフレを疎ましく感じながら、第一次世界大戦後のドイツで起きたというハイパーインフレの話を思い出した。当時のドイツは戦勝国から莫大な賠償金を課され、極度インフレが進んでいた。喫茶店でコーヒーを注文すると、店にいる間に注文したコーヒーの価格は上がっていき、会計の時には桁の違う値段を金額を請求されたという。なんとも恐ろしい。
今回のアイスクリームは、さすがにそこまで酷い話ではないけれど、何の対抗措置も取らずにほっといていい話でもない。そのままにしておけば、勝手にものの値段が上がっていき、持っているお金で買えるものはどんどん減っていく。値上がりした分、給料が増えればいいけれど、そんなことはまず起こらない。大多数の労働者にとって、毎月入ってくるお金は変わらないのに、出ていくお金は増えていくことになる。これがインフレの怖さだ。
身近な解決策はやはり株式に変えておくことだ。企業は儲けがなければ存続できない。原材料が高くなれば価格を上げる。価格を上げて、売上と利益を増やし、企業の評価を維持したり上げたりしようとする。その結果、株価も上がりやすくなる。他社よりも収益が高ければ、配当も増えるかもしれない。その増え方は、インフレによる価格上昇を上回ることもある。つまり、株式はインフレに強い。
結局アイスクリームは食べたいからそのまま注文したけど、同じタイミングで投資信託も追加購入した。インフレに対抗できる資産を購入したことを、値上がりしたアイスクリームを購入することの言い訳にしてみた。なかなかいいアイデアだったように思う。ささやかな抵抗。でも、少し気が晴れた。インフレなんかに負けるものか。